どんな社会にも,知ってしまってはいけない暗部がある。それはときに,神話として取り上げられ,ときに,真実として我々の目の前に舞い降りる。
機密扱いを解かれた米国安全保障局(NSA)の文書を調べていたナショナル・セキュリティー・アーカイブの研究員が,NSAの展開するネットワーク上のスパイ組織と噂される「エシュロン」に言及している箇所を発見したと文書を公開した。その箇所は,海軍の安全保障活動の機能について書かれたものの中に存在し,憶測されているものよりも制限されたプロジェクトだとしている。
この世界には,我々の知らないところで,知らない出来事が進行している。気付かない者は幸せだ。気付いてしまった者は,懐疑心の虜となる。エシュロンこそは,そんな出来事のひとつと云っていい(過去記事)。ワイヤードを支配する「神話」。誰も見たことがない,誰も確かめたこともないのに,エシュロンは,厳然とした「事実」のように取り沙汰され続けている。いや,きっと,紛れもない「真実」なのだろう。
すべてがオープンになっているかのようなワイヤードであっても,ひとつの社会として機能するための取り決めとして,「隠された暗部」は存在する。東国の経済立国が,手口のお粗末なハッカーたちによって面目丸潰れにされている事態は,ワイヤードという社会に対する認識の甘さを露呈している。
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